研修資料
「資料があるから大丈夫」が危ない。資料に載っていないもの
研修が始まる前、分厚い資料を受け取る。ページをめくると、図も表も丁寧に載っている。それだけで、ちょっと安心しませんか。
「これがあるから、あとで見返せば大丈夫」
その安心が、じつはいちばん危ないところです。
資料があるのに、思い出せない
研修から数週間後。実際に使う場面が来て、資料を開いてみます。
- 読んでも、あのときの話が思い出せない
- 隙間に書き込んだメモを見ても、どこが大事なのか分からない
- マーカーを引きすぎて、ページが全部カラフルになっている
結局、資料をぱらぱらめくって、何も持ち帰れないまま閉じる。よくうかがう話です。
資料には、あなたの理解が入っていません
ここが核心だと思っています。
資料はよくできています。専門家が時間をかけて作ったものですから、内容も正確です。
でも資料に書いてあるのは、講師が伝えたかったことです。そこに載っていないものが、ひとつあります。
あなたが、その話を聞いてどう思ったか。
- どこで「これは自分の職場で使える」と感じたか
- どこが「今まで自分がやっていたことと違う」と思ったか
- どこで「これは無理そうだ」と引っかかったか
これは、聞いていたあなたの中にしかありません。そして、そこがいちばん大事な部分です。
資料を読み返しても思い出せないのは、記憶力の問題ではなく、思い出すための手がかりが、そもそも資料に載っていないからです。
資料があることと、復習できることは別の話
この2つは、つい同じものだと思ってしまいます。
資料が手元にある。だから復習できる。——実際には、そうなっていません。
復習というのは「あのとき分かったことを、もう一度思い出す」作業です。分かったのはあなたであって、資料ではありません。だから、あなたが分かった瞬間の記録がないと、復習は始まらないのです。
マーカーが増えるのは、選べていないから
資料にマーカーを引く方も多いと思います。それ自体は悪くありませんが、引きすぎると意味がなくなります。
ページの半分に色がついていたら、それは色をつけていないのと同じです。全部が大事なら、どこも大事ではありません。
そしてマーカーは、付箋と同じで「あとで見よう」の印です。判断を先送りしています。引いた瞬間には「なぜここに引いたか」があったのに、それは記録されません。
やることはひとつ。その瞬間に書く
「これ、現場で使える」と思った瞬間に、自分のノートに書き留める。
資料の余白ではなく、自分のノートにです。理由は2つあります。
1つめ。資料の余白は狭い。狭いから、短い言葉しか書けません。短い言葉は、あとから読んでも意味が分かりません。
2つめ。資料はページ順に並んでいる。あなたが大事だと思った順ではありません。自分のノートなら、大事なものだけが上から順に並びます。
書くのは一言でかまいません。「◯◯ → うちの病棟でやってみる」くらいで十分です。この矢印のあとが、資料には絶対に載っていない部分です。
資料は補助。動けるのは自分のノートだけ
資料を捨てましょう、という話ではありません。数字や手順を正確に確認したいときは、資料が役に立ちます。
ただ、現場で動くときに開くのは、自分のノートです。
研修が終わって数週間後、実際にその場面が来たとき。分厚い資料を最初から読み直す時間はありません。ノートを開いて3秒で思い出せるかどうかで、その研修が役に立ったかどうかが決まります。
研修後に、資料を開かなくても思い出せる
その場で書けるようになると、こうなります。
- 研修が終わった時点で、必要なことは自分のノートにある
- 資料は、確認したいときだけ開けばいい
- 現場で「あれどうするんだったっけ」と思ったとき、すぐに答えが出る
資料が減るのではありません。資料に頼らなくてよくなるのです。
その場で書く練習ができます
聞きながら、自分にとって何が大事かを判断して書く。これは慣れが必要です。最初はどうしても手が止まります。
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