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メモの取り方キーワード

一言一句メモしても頭に残らない理由。ノートは記録する場所ではありません

2026年8月8日 益本奈緒子

セミナーや研修で、先生の言葉をひとつも逃すまいとペンを走らせる。真面目な人ほど、そうなります。

そして後日、そのノートを開いて思うのです。

「で、何が大事だったんだろう」

これは努力が足りないからでも、記憶力が悪いからでもありません。書き方そのものが、理解を邪魔しているのです。

一言一句書こうとすると、何が起きるか

3つとも、たくさん書いた結果として起きています。がんばったのに、がんばったせいで困っている状態です。

なぜ「全部書く」と理解が下がるのか

理由はシンプルで、書くという作業に、頭を使い切ってしまうからです。

聞いた言葉を、聞いたとおりに書き取る。これは思ったより負荷の高い作業です。今の一文を書いている間にも、話は次に進んでいます。追いつくのに必死で、内容を考える余裕はありません。

その結果、こうなります。

手は動いているのに、頭は動いていない。

あとに残るのは、自分では一度も考えていない文字の列です。読み返しても意味が入ってこないのは、当然といえば当然です。

ノートは「記録する場所」ではありません

ここが、いちばん大きな考え方の転換だと思います。

ノートは、記録する場所ではなく「考える場所」です。

記録するだけなら、録音でもできます。文字起こしのほうが正確ですし、速いです。人間がわざわざ手で書く意味は、そこにはありません。

手で書くことの価値は、書く前に一度考えるところにあります。「今の話で大事なのはどこか」と判断してから、ペンを下ろす。その判断こそが、記録では代わりのきかない部分です。

やることは「キーワードを選ぶ」だけ

難しいことではありません。文章のかたちで書き取ろうとするのをやめて、言葉を選んで置くようにします。

たとえば、こんな話を聞いたとします。

「情報を伝えるときは、相手が知っていることと知らないことを分けて考えたほうがいいんですね。全部説明すると長くなりますし、相手も飽きてしまいます。だから、相手が知らないところだけを話すようにすると、ぐっと短くなります」

全部書き取ると、3行かかります。キーワードを選ぶと、こうなります。

「相手が知らないところだけ話す」

これだけです。あとから読んでも、意味は分かります。むしろ3行の文章より、開いた瞬間に目に入ります。

選んでいるとき、頭は働いています

キーワードを選ぶとき、頭の中では判断が起きています。

これは考える作業そのものです。選んだ瞬間に、あなたはもう理解しているということになります。

そして、この判断を毎回くり返していると、だんだん速くなります。最初は迷っていたのが、そのうち反射的に「ここだ」と分かるようになります。理解力や記憶力が上がったように感じるのは、この判断が速くなったからです。

ノートが変わると、こうなります

今日から試せること

次の研修で、こう決めてから座ってみてください。

「文章では書かない。言葉だけ置く」

「〜ということが大事だと言っていた」ではなく、大事だと思った言葉そのものを置きます。助詞も要りません。

書く量が減ると、最初は不安になります。「これで足りるだろうか」と。でも心配は要りません。選べた言葉には、選んだときの判断が一緒にくっついています。だから、思ったより思い出せます。

「選ぶ」練習を、一緒にやってみませんか

何を残して何を捨てるか。この判断は、説明を聞くだけではなかなか身につきません。実際に手を動かして、その場で見てもらうのがいちばん早いところです。

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