話し方要約力
「何が言いたいの?」と言われる。話が長い人と、ノートが苦手な人の共通点
「あなたの話、何が言いたいの?」
「もう少し手短に話して」
会議や申し送りで、こう言われたことはありませんか。悪気なく言われたとしても、けっこうグサッときます。一生懸命に説明しようとしていたぶん、なおさらです。
そういう方にうかがうと、かなりの確率でもうひとつ当てはまることがあります。
ノートを書くのも、苦手なのです。
ノートが苦手な人に、共通していること
これまで2,000人以上の方のノートを見てきましたが、苦手だとおっしゃる方には、はっきりした共通点があります。
一言一句、逃さず全部書こうとしていること。
先生の話を聞きながら、必死にペンを走らせる。言われたことをできるだけ多く書き取ろうとする。とても真面目な取り組み方です。
そして講義が終わると、ページはびっしり埋まっています。やりきった感じもあります。
ところが、あとで開いてみると。
「全部書いたはずなのに、結局、何が大事だったんだっけ?」
これ、話すときも同じことが起きています
ここが今日いちばんお伝えしたいところです。
説明するときのことを思い出してみてください。
- 経緯を最初から順番に話そうとする
- 細かい事情も、全部伝えないと不安になる
- 相手が知っているかもしれないことまで、念のため話す
気持ちはよく分かります。抜け漏れがあると失礼だし、誤解されるかもしれない。だから全部言おうとする。
でも聞いている側からすると、情報が並んでいるだけで、どれが大事なのかが分かりません。だから「で、何が言いたいの?」になります。
ノートで起きていることと、まったく同じです。全部書いたページから大事なところが見つからないのと、全部話した説明から要点が伝わらないのは、同じ現象です。
原因はひとつ。選べていないだけです
一言一句すべて書こうとするのは、丁寧だからではありません。
何が大事か、選べていないということです。
選べないから、全部残そうとする。全部残すしかないので、量が増える。量が増えるから、大事なところが埋もれる。
話すときも同じ流れです。何を言うべきか選べていないから、全部言う。全部言うから長くなる。長くなるから伝わらない。
つまり「話が長い」のは、話し方の問題というより、その前の段階でつまずいているのです。
ノートも会話も、使っている力は同じ
要点をつかむ力。いわゆる要約力です。
この力がはたらいていると、ノートは短くなり、話も短くなります。どちらも「何が大事か」を選んだ結果だからです。
逆にこの力が育っていないと、両方が長くなります。ノートが苦手な人が話も長くなりがちなのは、性格でも能力でもなく、同じひとつの力を、両方の場面で使っているからです。
だからこそ、片方が変わるともう片方も変わります。
練習するなら、話すより先にノートです
「話し方を直したい」と思ったとき、多くの方は話す練習をしようとします。でもわたしは、先にノートから始めることをおすすめしています。
理由は3つあります。
1. やり直せる
話した言葉は消えてしまいます。あとから「今のはこう言えばよかった」と思っても、確かめようがありません。ノートは残るので、見返して「ここは要らなかったな」と自分で気づけます。
2. 相手を待たせない
会話の最中に「えーっと、何を言うべきか」と考えていると、沈黙が生まれます。焦ります。ノートなら、自分のペースで選ぶ練習ができます。
3. 毎日できる
人に説明する機会は、そう何度もありません。でもノートは、研修でも会議でも読書でも、毎日書けます。練習の回数がまったく違います。
ノートで「選ぶ」ことに慣れてくると、不思議なことに、話すときにも同じ判断がはたらくようになります。頭の中で「今いちばん伝えるべきことはこれだ」と選べるようになるからです。
実際に、伝え方まで変わった方がいます
回復期リハビリ病棟で働く受講生の方は、こんなふうに話してくれました。
「全部書く」をやめました。ノートが変わったことで、嬉しいびっくりがもう一つ。うちの職場では「申し送りの時間が長い」という課題がありましたが、ポイントを抑えて伝えることが得意になったので、短い時間で大事なことを簡潔に伝えられるようになりました。周りのみんなも私の伝え方を真似するようになってくれて、職場全体の申し送りの時間が改善されて、とっても嬉しいです。
話し方の練習をしたわけではありません。ノートの書き方を変えただけで、伝え方まで変わっていきました。
今日から試せること
次の研修や会議で、ひとつだけ試してみてください。
そのページに書くのは、3つまで。
4つ目を書きたくなったら、すでに書いた3つのどれかと比べて、大事でないほうを消します。この「比べて選ぶ」瞬間が、そのまま要約の練習になります。
最初は落ち着かないと思います。書かなかったことが気になります。でも1週間続けると、聞きながら「これは3つに入るかな」と考えるようになります。そうなればもう、話すときにも同じ判断がはたらきはじめます。
選ぶ練習を、一緒にやってみませんか
何を残して何を捨てるか。この判断は、説明を聞くだけではなかなか身につきません。実際に手を動かして、その場で見てもらうのがいちばん早いところです。
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